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花の宝石箱 坂田 由美さん

花の美しさを「宝石」として

「『ごめんね』って言いながら頭から切っちゃうのよ。」しかし、その切られた花は枯れることなく、美しいままの姿で永遠に飾っておけるのです。

レカン(L’écrin)とは、フランス語で「宝石箱」を意味するそうです。花を10日以上かけて乾燥させ、立体的に仕上げていくレカンフラワーを初めに習ったときは、坂田さんも生き生きした花を切ることに抵抗があったそうです。ただ、きれいなまま、想い出も一緒にとっておけるレカンフラワーにすぐに魅了されていきました。

固定概念を持たずに

自宅の庭で育てた花を生けるなど、花には親しみのあった坂田さんですが、12年ほど前に病気を患い、看護師の仕事をやめなくてはならないかと悩んだことが、レカンフラワーを始めたきっかけだったと言います。相談した叔母から「好きなものを趣味で終わらせないで。」と助言を受け、「人があまりやっていないことを!」と背中を押してもらい、大阪の教室に通って身に付けたそうです。
ビーズ細工をしたり、料理を美しく盛り付けたりと手先が器用で、美センスが抜群の坂田さん。作品は、花びら1枚1枚まで愛しさが伝わる丁寧さや、アレンジが評価され、全国の作品展で入賞するほどです。

先生、ライブ、看護師、ドライブ

幸い、病気から回復して職場復帰している坂田さんは常に行動的です。音楽ライブを観に、東は東京から、西は福岡までと広範囲に活動しています。(なんと、着物を着て行き、踊るそうです!)中四国であれば自分で運転して行きますし、地区の女性会にも参加。さらに、学期に一度は地域の小学校の放課後こども教室にボランティアで出向きます。季節感があり、家族の話題になりそうな作品を、児童たちが自由な発想で作れるよう教えています。
そんな坂田さんに今後の展望をお聞きすると、「まだまだ退職の予定はないからね~」と言いながらも、とても嬉しそうに「着物の帯にビーズ刺繍をしたい。もう、描きたい図面もあるの。」と教えてくれました。
「絶対に他では売っていないようなものを!」という強さ、花一つ一つに愛情をかけて扱う可憐さ、どちらも持ち合わせた坂田さんの作品とお人柄からは「ときめき」が溢れています。

坂田由美[さかた ゆみ]さん
レカンフラワー協会 フロレゾンインストラクター
レカンフラワー&花雑貨 アトリエ ジュアン
三原市本郷町南方3436 TEL/FAX:0848-86-3443
結婚式や還暦祝いの花、入学式のコサージュを思い出にとっておきたい、など作品を依頼することができます。

文:槙田沙希

この記事は、2019年3月発行の「シニアNOWNOW Vol.1」に掲載したものです。

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