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アイデアが溢れる工房 森藤 達哉さん

地元本郷町の飲料容器メーカーで40年間勤めたあと、2015年早期退職し、実家の世羅町川尻で、「おいらの楽園『木楽工房』」を開いている森藤さんを訪ねた。

JAZZを聴きながら
何かをこさえている時が至福の時

母屋の隣の作業場には、木工旋盤、糸鋸盤、自動かんな盤、電動グラインダー、電動トリマーなどの機械が所狭しとならぶ。依頼された表札や看板、棚、木彫り、オブジェなどを作っている。使う木材は、解体家屋でいらなくなったものや民家から古いものを譲り受けることが多い。作業場の黒板には頼まれたもののリストが10件くらい書かれていた。よっぽどのことでない限り頼まれたものは断らない。ただ、6反の田んぼで米を作っているので、農繁期には、待ってもらうこともあるそう。
「人からはゴミ、捨てられるような木片でも命を吹き込める。依頼者からよろこんでもらえるとうれしい。」と森藤さん。
昨年の7月豪雨で本郷の自宅は床下浸水。おまけに自家用車3台も廃車になり、今ではこの軽トラックで本郷の自宅と世羅の工房をほぼ毎日通う。午前中は農作業。妻の手作り弁当を食べ、午後、木工作業をする。薪ストーブを焚き、JAZZを聴きながら何かを作っている時が至福の時と言う。お茶を飲むのも忘れて夢中で作業をし、気が付いたらもう帰宅の時間になっていることも度々。

材料を活かしていくことに
喜びを感じるまだまだ発展途上

退職して1年目は実家の田んぼや家の周りの整備、2年目は家の改修に取り組んだ。2016年8月頃、ふらっと立ち寄った東広島の古民具販売店のオーナーから、古いものの良さを教えてもらった。「うちの看板や表札や古物のリメイクをしてみないか。」といわれ、やってみようと思った。父親が趣味で仏像や置物を作っていた。「父親の血を受け継いだのかな。」と森藤さん。知り合いの方から木工道具を譲り受けたことも活動を後押しした。
「こんな木切れも大きな作品の一部になるから捨てられん。」材料を活かしていくことに喜びを感じる。「いかに腕を上げていくか、まだまだ発展途上。周りに腕のいい人がいてその人の作品を見てちょっとでも近づきたい。」と目を輝かす。
JAZZをこよなく愛する森藤さん。休日にはJAZZライブに通う。「市内にJAZZライブの場所がもっとあるといいね。」

酒樽をリメイクしたテーブル。樽の上に松の一枚板を9角形に加工したものを乗せている。樽の下には碁盤の足をつけ移動が楽にできるようにした。

おいらの楽園 木楽工房
世羅郡世羅町川尻762
080-5753-4709 (森藤)

文:中曽年世

この記事は、2019年3月発行の「シニアNOWNOW Vol.1」に掲載したものです。
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