シニア NOw NOw

地域の人と共に 『みちこガーデン』本多 美知子さん

久井町下津の自宅の庭には、色々な種類のバラやバラを彩る宿根草やラベンダーなどの植物が植えられ、芝生はきれいに整備されている。自宅の庭を『みちこガーデン』として地域に開放し、敷地内でカフェ『Apricot Candy Café』を開いている本多さんを訪ねた。
「春のバラは季節が来ればよく咲くが、秋のバラは難しいです。手入れをしないときれいな花が咲かないんです」と管理の難しさを話される。今年の夏から秋にかけて天候が不順で、手入れが大変だったとか。それでも、自宅の庭では、色々な形や大きさのバラが迎えてくれ、クレマチスやサルビアなどが美しいバラを引き立てている。
10 年前に、両親の介護のため早期退職し、両親を看取られた。その後、自宅の改修や庭の整備を経て、バラの栽培の勉強をされた。通信講座で『バラのコンシェルジュ』『ガーデンコーディネーター』の資格を取
「私は、ちょっとかじるというのが好きではない。やるとなったらのめり込むタイプです」と笑う。6 年前から、オープンガーデン『みちこガーデン』を始めた。

Apricot Candy Café

オープンガーデンに来られた方からの「カフェがあったらいいのにね」という声に応えて、カフェを始めることにした。自宅の敷地内の納屋を改造して、Apricot Candy Café を3 年前に開設。自宅の庭や畑でとれたやブルーベリーや野菜を使ったケーキやタルトは、本郷に住んでいる娘さんが通ってきて手作りしている。予約制で、牛すじ煮込みカレーもメニューとして出している。カレーは、野菜と牛すじをじっくり煮込んだ夫のこだわりのカレー。
バラを育てはじめたころに、福山のバラコンテスト(切り花)で入賞したのが『アプリコット キャンディー』というバラ。それにちなんでカフェの名前をApricot Candy Caféと名付けた。
カフェを開くことができたのは、「いっしょにカフェをしてもいいよ」といってくれた娘さんの一言や協力があったのが大きい。夫のお友達が大工さんで、内装などの注文に答えてくれ、納得のカフェが出来上がった。

勝負は冬の手入れ

Apricot Candy Café は、12月の第 1 週くらいから 3 月までの冬季はお休みしている。それは、冬の間、バラの手入れに専念したいから。つるバラの誘引作業に1 ヶ月以上はかかる。どんなに雪が降っても毎日庭に出て作業をする。「どんなに寒くても、バラと向き合う時間は、至福の時」と言う。どれだけ手をかけたかが、春のバラの美しさに左右するという。

人との出会い 輪を広げたい

久井コミュニティーセンターで、毎月、『バラの育て方講座』の講師をしている。
「皆さんが愛情を込め、熱心にバラを育てておられる。皆さんとその楽しさを共有できるのが楽しみ。バラを通していろんな人と関わることができるのが大好き」とおっしゃる。
退職前は、家と職場の往復で、地域との関わりもなく、地域の役に立てていないと感じていた。「今は、地域への恩返しがしたい」という本多さん。
「久井ってとってもいいところ。地域の人に楽しんでもらいたい」と思ったのが、オープンガーデンをはじめたきっかけ。

今後の目標は?
みんなでバラを育てて、オープンガーデンを町内各家庭で開けたらいいなと思っている。バラを中心にしたイベントを久井町内で開きたい。地域の公園や道端にバラを植えて整備したい。
「実は久井は寒暖差があって、バラの生育には適しているんですよ。遠くに行かなくても地元で、自分たちの手でステキなガーデンができるということを実現させたい」
と、目を輝かせる。
バラ以外での趣味は?
「ファッションやアクセサリーに興味がある。バラ園巡りをして、バラグッズやガーデング ッズを集めるのが好き。年齢を重ねるほど、なんでもない風景がとてもいとおしくなってくる」そう語る本多さんの顔はバラのように輝いている。
(バラ以外での趣味とお聞きしたのに、お話はやっぱりバラの話に。どこまでもバラ好きの本多さんです)
好きな場所は?
久井。久井は少し標高が高いので雲海のようになる その朝焼けが好き。山があって、空気がきれい。田舎の風景は心が癒される。

Apricot Candy Cafe
三原市久井町下津1841 Tel 080-2924-4586

文:中曽年世

この記事は、2020年3月発行の「シニアNOWNOW Vol.2」に掲載したものです。

PAGE TOP