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ぬくもりの中で ほんごう子ども図書館

大貫 祝子さん 写真左
西原 庸子さん 写真中左
日高 桂子さん 写真右
水戸 ミヱコさん 写真中右

ほんごう子ども図書館 ワクワクおはなし会

「いらっしゃい」来館するお子さんとお母さんを笑顔で迎えてくれるのは全国でもめずらしい公設民営の図書館、ほんごう子ども図書館のボランティアの皆さんです。今日は月3回行われる定例のおはなし会の日。こちらの図書館では子ども達の前で本を読むことを読み聞かせではなく“読み語り”と呼んでいます。「それは本を通じて語り合っているから。一緒にお話しましょ という気持ちを大事にしている」設立当初から運営に関わっている日高さんはそうおっしゃいます。会の始まりには“お話のロウソク”が灯され、ワクワクした気持ちとともにみんなでお話の世界へと入っていきます。子ども達は絵本の場面と一緒にバスに乗る仕草をしたり、動物のまねをして、ぴょーんと跳ねてみたり。床に寝転んでお話を聞いてもらうのも大歓迎だそうです。 靴をぬいで上がり、木のぬくもりを感じられるログハウスの建物の中で子ども達は心からくつろいでお話を聞いているようでした。お話のロウソクをみんなで輪になって吹き消すことで、会は終わりを告げます。

好きって気持ちがチカラをくれる

ボランティアさん達の仕事は本の貸し出しやおはなし会だけではありません。子ども館として子ども達と一緒に楽しめる行事も数多く行っています。近くにある総合技術高校の生徒さん達の活動“お元気マイスター”には企画から運営まで関わってもらい、地域に根ざしたイベントを協力して作り上げているといいます。また、併設する広場 “なんじゃもんじゃ広場”では子ども達が自然の中で過ごすことができ、野菜作りなどを一緒に楽しんでいるのだとか。「子どもは宝。社会みんなの子どもだと思って仕事をしている」と館長の西原さん。元保育士だった水戸さんも「子ども達が好き、人が好き。色んな人に出会うのが嬉しい」とおっしゃいます。皆さんに共通するのは“子ども達が好き”いう気持ちです。それが皆さんにボランティアを続けるチカラをくれているのかもしれません。

大田先生の想いを受け継いで

本郷出身の教育研究者、大田堯(たかし)先生の教育や子ども達に対する想いに始まり、町の人たちの働きかけを経て、ほんごう子ども図書館は2001年に設立※されました。昨年100歳でお亡くなりになられましたが、大田先生の想いはボランティアさん達にしっかりと受け継がれています。亡くなられる少し前、皆さんで さいたま市にある先生のご自宅を訪問された時の写真を見せていただきました。「好きなことを通して子ども達と関わるのが尊い仕事。ボランティアみんなで話し合って、来館される皆さんのための図書館にして欲しい」と言葉をかけていただいたそうです。大田先生はボランティアさん達一人ひとりにも真摯に向き合い、話を聞いてくださる方だったそうで本当の意味で“人と向き合う”ということを教えてもらったといいます。皆さんは大田先生への感謝の気持ちを胸に、図書館に関わるすべての方々と丁寧に向き合われています。

子どもたちの笑顔とともに

ほんごう子ども図書館が通常の図書館と異なるのは友達とおしゃべりをしたり、遊んでも良いところです。そして、子どもと親の待ち合わせの場になったり、お母さん同士の交流の場になったり、特別支援学級の子ども達が本を借りる学習の場になったりと図書館は色々な顔を持っています。本を借りに来ている子ども達とボランティアさんとの間で突然、歌遊びが始まることもしばしば。「子ども達の本質は何も変わっていない。開館当時の18年前と一緒!」子ども達の正直なところが好きだと副館長の大貫さんはおっしゃいます。おはなしのぬくもり、木のぬくもり、人のぬくもりの中で過ごすことのできる、ほんごう子ども図書館。今日も図書館では元気な子どもたちの声が響き、笑顔があふれます。

ほんごう子ども図書館
開館時間10:00〜17:00
休館日 木曜日/日曜日/祝日 年末年始その他
おはなし会
毎月第1火曜日 10:30〜11:00
毎月第2・4土曜日 14:00〜14:30
どなたでも利用できます
貸し出し冊数 ひとり3冊
貸し出し期間 2週間

ほんごう子ども図書館の敷地は大田先生の奥様のご実家跡地で、大田先生から寄付されたものです。
大田先生は教育研究者として“地域と一体となった教育”、“子ども一人ひとりの個性を重視した教育”の大切さを訴え続けられました。
当時、図書館のなかった本郷町に「子ども達のための図書館を」と大田先生の想いを受けて町民が集まり、『子ども図書館設立の会』を結成。署名運動を経て“子ども館”として町が建物を建て、その維持は行政が負担、運営はボランティアが行う公設民営の図書館として設立されました。
会員やボランティアを随時募集中です。
(三原市広報・子どものしあわせより抜粋)

文:小林和佳子

この記事は、2020年3月発行の「シニアNOWNOW Vol.2」に掲載したものです。
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