ウナ セラ ディ ロンド

鹿の一族

鹿児島出身
尾道在住の画家
瀬戸口祐佳さんの個展をやっていただいている。

瀬戸口さんとの出会いは、ロンドの前オーナーからの紹介で、オープン当初であった。
それから毎年、もう四回目になる、瀬戸口さんの個展。

動物を描く日本画家、として、幅広く活動されているが、今回の作品は、鹿。鹿。鹿。である。
鹿の群れの大きな作品を見ながら、まるで、その群れの中にお邪魔して、一緒に珈琲を飲んでいるみたいだ。
いまは、どこにも出かけられないけど、ちょっと出かけてみたような、そんな気にさせてくれる、そんな優しさに溢れた作品展となっている。

これまでの作品は、尾道の野良猫たちや、飼っている犬や、比較的身近なものを描いた作品が多く、店主は個人的に、野良猫たちの「かわいいだけじゃないのよ、ワタシたち。」という、野良の表情に魅力を感じていた。
今回は、作品作りのため、観光客のいなくなった宮島を訪ね、自然に身を置きながら、創作されたそう。
そういった意味では、これまでとは非常に異なる作品展となっている。

私もかつて会社の先輩に誘われ、似合わぬ登山をしたことのある、弥山を描いた作品もあるが、動物がまったく登場しない瀬戸口さんの作品、というのも珍しい。
そして、今回の展示で、特徴的なのは、各作品に、ご本人の解説がついていることだ。

それは、技法や、材料などを書いているものではなく、なぜ、こういった作品を描きたくなったのか、描いているときに、どんな気持ちを抱いていたのか、といったことが主である。

まん延防止措置期間中ということで、感染抑止と、店の席数を減らしているということを気遣ってくださり、瀬戸口さん自身が常時在廊できない状況で、ご自分が居なくても、じゅうぶんに作品を楽しんでもらえるように、という、瀬戸口さんの配慮だ。
この行き届いている人柄こそ、作品と同等に、瀬戸口さんの魅力である。

案内状にも、来てくださるお客様と、感染対策をしている当店への配慮があふれ、少人数での来店、営業時間などの変更がないか事前に確認してほしい、など、通常あまりスペースを割かないような内容を、しっかりと載せてくださっている。
本当にありがたい。
また、先に述べた作品の解説についても、ギャラリーや、美術館を訪れる人々に向けたものというよりは、どちらかと言うと、たまたまお茶を飲みに来て、日本画に初めて触れる人たちに楽しんで見てもらいたいということを念頭に置いた言葉を選んでいる。

店内には、手頃な価格で求めることのできるスケッチもあり、そういった意味でも、こんなご時世に足を運んでくださるお客様への心配りが感じられる。
やはり、作品は人なり、である。
2/27まで、今のところ、時短営業にて開催中。
残念ながら、とっぷりとしたウナ・セラ・ディではない営業時間だが、ぜひぜひ愉しんでいただきたい。

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